論文感想 (和田 晴吾. 2004.「古墳文化論」)

2017/5/25

和田 晴吾. 2004.「古墳文化論」(歴史学研究会・日本史研究会編『日本史講座;第1巻 東アジアにおける国家の形成』東京大学出版会.)を読んだ。

-古代から順に基準になりそうな論文を選んで読んでいきたい。
「最初の列島規模での政治的統合がどのような形で進行したか?」ということで古墳時代を五期に分けて歴史過程を概括。前提となる弥生墳丘墓も検討する。
第三段階(4c後葉から5c中葉)を首長連合体制の到達点・成熟期とみて、そこから第四期への変化を最大の画期(「古墳時代の前後の差よりはるかに大きい」)とする。それはもはや古墳時代という区分自体の再考に向かってもよいのじゃないかと思える主張。

-「この時代を考古学的な研究に基づき本格的に評価しようとする試みはまだ始まったばかり」ということで、近藤義郎の部族連合論、都出比呂志の前方後円墳体制・初期国家論を踏まえて古墳秩序の変遷を辿っているよう。十数年前なので、今はどこまで進展しているだろうか。

-個別に面白い主張や表現が多々。
古墳時代の社会システムについて述べた上で、古墳祭祀がそのシステムを支える重要な役割を担っていたとし、「古墳時代社会はまさに生者が死者とともに生きた葬祭社会だった」
第三段階の首長連合体制の成熟期には東アジア世界との交流がさかんとなり、大陸から多くの人・もの・情報が流入し、文化が大きく変化する。これを評して「一種の文明開化的状況」

-第五段階(6cころ)に展開する新秩序のもとで、王権が家長層の掌握を通じて民衆支配をすすめるというが、古墳の観察からだけでこれはいえることなのだろうか。「集権的な国家体制の成立過程と家父長制的な古代家族の成立過程は並行」するということだが、疑問。