論文感想(長野 ひろ子. 1990. 「幕藩制国家の構造と女性-成立期を中心に-」)

2017/5/29

長野 ひろ子. 1990. 「幕藩制国家の構造と女性-成立期を中心に-」近世女性史研究会編『江戸時代の女性たち』吉川弘文館,を読んだ。


-幕藩制国家の政治構造・権力構造のなかにおいて、女性がいかなる位置にあり、またどのような役割を果たしていたか?について、将軍大名の妻娘の公的性格と女房衆の女性家臣としての役割を検討。
統一政権成立期までは政治的に活躍した女性が存在したこと、幕藩制国家の展開にともなって「表」と「奥」の分離と、「奥」への女性の封じ込めが進んだことを述べる。
具体例は島津家周辺。歳久夫人・伊集院忠棟夫人・義久の末娘亀寿・義弘の末娘千鶴・義弘や忠恒と女房衆とのやりとりなど。

-おわりがけには「権力機構中枢に女性が奉公すること自体、家父長制原理・意識と相反するものであったろう。」という文言。家父長制的家は「中世以来日本社会に浸透してきていた。
幕藩の「奥」女房衆は給金・扶持であったが、朝廷へ使える女性は知行は高で与えられていて性格が異なるという指摘があり、この点は論文の核には位置していないが非常に気になる。幕藩と朝廷では家の原理が異なるという話になるのだろうか。