論文感想(和田 晴吾. 2003. 「古墳時代の生業と社会--古墳の秩序と生産・流通システム」)

2017/5/30

和田 晴吾. 2003. 「古墳時代の生業と社会--古墳の秩序と生産・流通システム」『考古学研究』50(3)を読んだ。

-「古墳文化論」で述べられていた生産・流通システムを詳述したものとして読む。多数行われている個別研究を見渡して全体を捉えていこうとする試み。
古墳時代の人・もの・情報の流れは上下関係を基本とする、対等な関係の交流についてはよくわからない。という。
古墳中期には畿内が生産・技術を独占、畿内の首長間で分業が行われた。後期に入ると技術が地方へ移転、広域的な分業が成立し、貢納体制が整備されていく。

畿内各地での生産の分業体制が、古墳時代に都市が成立しなかった一つの要因ではないかと指摘。奈良の飛鳥池遺跡のような複合的工房は、首長間分業の枠組みが崩壊してから現れたものだろうとする。
おわりにでは「部」研究との比較の深化を提言。

-工房での鉄器・須恵器などの生産が分業化されていたのは事例も挙げられていて納得するのだが、行政・祭祀・軍事の面でも同様というのはどういう根拠なのかが不明で疑問が残る。