論文感想(藤野 裕子. 2013. 「表象をつなぐ想像力 : ルポルタージュ読解試論」)

藤野 裕子. 2013. 「表象をつなぐ想像力 : ルポルタージュ読解試論 (特集 史料の力,歴史家をかこむ磁場 : 史料読解の認識構造(2))」『歴史学研究 = The journal of historical studies』(913)を読んだ。

-自ら史料を残さない主体の世界 をルポルタージュからいかに描き出すか。ルポルタージュの書き手の意図を描き出す手法はあらわれているが、それだけでは、人びとへは迫れない。そこで見つけ出された方法は、
①他の史料と突き合わせて実態を確定する
②観察された客体の側に立って、ルポルタージュで描かれるようなまなざしを向けられることがどういう意味を持ったのかを想像する。

-むろん②が重要。ルポルタージュの書き手の描く世界と、描かれる側の世界、複数の表象世界をつなぐ歴史家の想像力に自覚的であることがポイント。その上で、自分の属す現実世界や自分自身の内面など、自分の想像力を規定しているものを自分自身が理解し、更新し続けることが必要。

もっともだ、と思う。他でなされる歴史哲学や方法論に比べれば、学者間のコミュニケーションの話はされていないな、という印象。かなり孤独な営為として捉えられているように感じる。