論文感想(前田 勉. 2015. 「林家三代の学問・教育論」)

2017/06/12

前田 勉. 2015. 「林家三代の学問・教育論」『日本文化論叢』(23)を読んだ。『江戸教育思想史研究』2016年に補訂されて載っている。

ー幕末・明治に政治的な討議を行う公共空間を準備したとされる、江戸時代の会読。その起源は荻生徂徠とされてきたが、更に遡って、幕府儒者の林家の塾においても似たことが行われていたこと、徂徠自身がそこから影響を受けているであろうことが、徂徠の『学寮了簡書』、林鵞峰(羅山の子、林家二代目)の『鵞峰文集』『国史館日録』などから論証される。林家三代というが、ほとんどは二代目の話のみ。

ー二代目鵞峰の時代(1650~70年代)、林家塾では対等な人間関係のもとで学力が競われていた、という点はよくわかる。が、その後の展開についてはわりと曖昧に先行研究を踏襲してしまっている。『本朝通鑑』編修が終わってからは林家塾が衰退していく、と簡単に述べているが、、、?京都の朝廷近辺や寺社周辺のコミュニティとの関わりも気になる。

ー「対等な人間関係」に鵞峰自身が入っていないという点をどう評価するかも問題であるとおもう。