diary

読んだ

自分用メモ・ノート

2017年7月の読書と感想

大きな鳥にさらわれないよう大きな鳥にさらわれないよう感想
神話的だ。とてもとてもよい。

”神話って、なあに。神の話よ。神って、なあに。わからないけれど、工場みたいなものじゃないかしら。”
読了日:07月02日 著者:川上 弘美


人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ)人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ)感想

唐突に神話への関心が高まっているので、家にあった一冊を読む。大学での講義録。/人類史上最も巨大な革命である新石器革命。その後に行われた思考の組織化によって生み出された「はじまりの哲学」であるところの神話。神話は「感覚の論理」を使うが、とても複雑な思考でもある。。。/人類的な分布をする神話としてシンデレラについて語られる。竹取物語オイディプスリグ・ヴェーダなんかも絡めつつ。

「仲介」と「誤配」が共鳴するキーワードなんだろうなぁ。

現代文化への積極的な言及があるのが少し意外だった。この本ではあまり明言されていないが中沢さんの宗教へのマイナスめの評価は興味深い。
読了日:07月04日 著者:中沢 新一


さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)感想

2013年。草上の「ウンディ」と冲方の「神星伝」がドツボ。特に後者の時空光円墳ジクウ・コウエンフンとか具足グソクとかギャグすれすれの用語が楽しすぎて楽しすぎて。長編で読みたい。/藤野可織がここに載ってたのが意外。やっぱり面白いしすき。宮内・円城もよい。どちらも短編1本じゃ読み足りないくらいだけど。/石川「地下迷宮の帰宅部」はラノベ。これもよかった。
読了日:07月19日 著者: 


道徳を基礎づける―孟子vs.カント、ルソー、ニーチェ (講談社現代新書)道徳を基礎づける―孟子vs.カント、ルソー、ニーチェ (講談社現代新書)感想

twitterで話題になってたので、借りてきて読む。副題の通り、孟子とカント・ルソーらを対話させていく。/「道徳を基礎づける」という議論は西洋では袋小路に入り込み、解決されないままであるが、しかし追い払えたわけでもない。あえて孟子を持ち出してこの議論を再び動かそうとする。/『孟子』に対する西欧からの読解が非常に刺激的。解題の中島さんの要約と議論への参加も面白い。全体に、日本の立ち位置について考えさせられる。
読了日:07月27日 著者:フランソワ ジュリアン


江戸のガーデニング (コロナ・ブックス)江戸のガーデニング (コロナ・ブックス)
読了日:07月28日 著者:青木 宏一郎

 


旗本・御家人の就職事情 (歴史文化ライブラリー)旗本・御家人の就職事情 (歴史文化ライブラリー)感想

ごく素朴な感想だが、もう少し面白く書いても良かったのではないのか。。役に立つ本だろうしこれで充分需要があるだろうこともわかるけれど。/森山孝盛が重要かつ面白い人物だということがよくわかる。/学問吟味などの試験関係はこういう人事面から丁寧に捉えていったほうが説明がわかりやすくなるのかもしれないなと感じた。
読了日:07月29日 著者:山本 英貴


金の国 水の国 (フラワーコミックスアルファスペシャル)金の国 水の国 (フラワーコミックスアルファスペシャル)
読了日:07月29日 著者:岩本 ナオ

 


[現代版]絵本 御伽草子 木幡狐 (現代版 絵本御伽草子)[現代版]絵本 御伽草子 木幡狐 (現代版 絵本御伽草子)感想

古本屋で遭遇。中世の御伽草子藤野可織が翻案。狐とエリート男の異類婚姻譚。良妻賢母を演じる百数歳の女子高生狐。。。とても面白い。主人公の女性の名前が「きしゆ」で原典通りなのだが、妙に味があっていい名前。京都ならこんなこともありそうなんだよなぁ。/原典も巻末に収録してあるのも嬉しい。/原典とは、狐と人間の距離感が全然違っている。僕は、変に人間っぽくない藤野版の狐たちの方が好きだ。

絵本御伽草子シリーズ、他も面白そうなので読みたい。青山七恵鉢かづきとか。
読了日:07月30日 著者:藤野 可織,水沢 そら


黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)感想

思っていたよりずっと衒学的だった。登場人物の行動原理がみんな文学世界の住人すぎるじゃないか、と思ってしまうが、それこそが魅力だろうか。「美しくない真相は真相じゃない」んだし。第三話の「水のレトリック」が好き。香水の話。/二人の信頼関係は好もしいけれど、付き人が黒猫を見上げるばかりでそこがちょっと物足りないかも。/人の行動原理を「浄化」で語る黒猫の思考の基調が、よいな、と思う。
読了日:07月30日 著者:森 晶麿


雨の塔 (集英社文庫)雨の塔 (集英社文庫)感想


5年前に読んだものを再読。友達と話していて話題に上がって読みたくなってしまった。/なんでこういうのに自分が惹かれるのか、あんまりわかっていないのだけれど、でもやはり愛おしくて苦しい。
読了日:07月30日 著者:宮木 あや子


「東アジアに哲学はない」のか――京都学派と新儒家 (岩波現代全書)「東アジアに哲学はない」のか――京都学派と新儒家 (岩波現代全書)感想

魅力的なタイトル。京都学派(西田など)と新儒家(牟宗三など)を歴史的・理論的に検討し、その来るべき交錯点こそが「東アジア哲学」の出発点となるだろうとする、挑発的な本。/両者ともに背景には天台円教があるとする。(大乗起信論ではなく)/西洋側での両学派の受容についても気になるがここで述べるほどのインパクトは生まれていないのかな・・・?

「哲学」という翻訳語の問題は重要だと思うが指摘にとどまっている。雑居性はそれでは解決しないのではないのか。あるいはこれからは言葉の壁越えていくから、そういうのはしなくてよいのか。/丸山や廣松の京都学派との関わりからの評価や、傅偉勳の「多元開放性」の議論なんかが脇道ではあるが気になる。/京都学派と新儒家もそうだが、批判仏教についても同種の議論が日本と中国で影響関係がないまま行われているというのも気になる話。朝鮮などの状況も気になる所。

ジュリアンの『道徳を基礎づける』も引用され、同書の、中国に形而上学がないという主張に反論している。(①孟子には分節化の思考がない、②儒学には形而上学を特徴づける二元論立場が欠けている、③儒学には「自由」の理念が欠けている。の三点が朝倉がまとめるジュリアンの主張)
読了日:07月31日 著者:朝倉 友海


観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)感想


尊氏と直義などの人間性へのコメントなどが豊富でストーリーとしてなかなか読みやすいように思う。武将たちがあまりにもころころ所属を変えていくのが、ちょっと信じられない。所領が問題なのはわかるがしかし。将棋じゃないんだから。生死かかってるのに。かかっているからこそか?/なにしろ出来事が本州中でおこっているし登場人物も多いので(しかも不明なことも多いので)、時系列順に丁寧に理解しようとしだすと大変。こういう物語チックな叙述が合っているのだろうなと思う。

擾乱の原因(の一端)や帰趨を彼らの「やる気」「気概」の問題と結論するのは、この時期の人びとの思想構造への一つの判断だと思うが、そのあたり踏み込むのも面白いかなと。亀田さんは尊氏・直義の「やる気」の理由は大体肉親関係(兄弟や自分の跡取り)に、武将たちのそれは「努力すれば報われる」ことへの信頼の有無に、もっていっているよう。

「制度・政策面において、観応の擾乱こそが初期の室町幕府にとってもっとも重大な戦争であった」ということで幕府の政務システム・恩賞システムへの言及も多く面白い。特に中世の訴訟の性質がこの乱を境として変化しはじめたという指摘など。/災害や荘園支配への言及が終章にあり、本編ではみえてない社会の部分も若干だが垣間見えるようになっている。
読了日:07月31日 著者:亀田 俊和