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自分用メモ・ノート

2017年8月の読書と感想

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福感想
ホモ・サピエンスという種の歴史をその最初から物語る本。ホモ・サピエンス以外のホモ属の生物を「人類」といい、ホモ・サピエンスを「サピエンス」としている。七万年前の認知革命、一万二千年前の農業革命、五〇〇年前の科学革命を三つの重要な革命としてその影響を語る。/テーマが示すごとく視野が非常に広く、そのわりに細かい具体的な事実への言及も多いのでとても刺激的な読書。

「農業革命は罠だったのだ。」と言い切る。こういう断言がとても魅力的。
読了日:08月01日 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ


雪月花黙示録 (角川文庫)雪月花黙示録 (角川文庫)感想

ライトな学園ファンタジーかなと思いきや、中盤から恩田陸らしさ全開だった。この世界観は好きだな。文庫版の表紙イラストも読み終わってからよくよく見たら色々情報散りばめられているのね。
読了日:08月06日 著者:恩田 陸


サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福感想

下巻は科学革命の意義と射程についてが中心。「無知の発見」に科学革命の発端をみる。/19章は幸福の問題を問う。これだけ視野を広げつつ現在の現実に向き合っていて、そこまたとても刺激的。また、ヨーロッパからする仏教への関心の背景がよくわかる。/20章はサピエンス以後について。興味深い。SF的。著者はSF(的な想像力)をあまり評価していないみたいだが、日本で読める最新SFはこの本とよく似た視角を持っている印象。

訳者あとがきがコンパクトに内容をまとめてあって振り返りやすい。またそこに引用されている「歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなのだ」という言葉が何より重要だろうと思う。
読了日:08月07日 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ


熊から王へ カイエ・ソバージュ(2) (講談社選書メチエ)熊から王へ カイエ・ソバージュ(2) (講談社選書メチエ)感想
神話的思考(対称性の思考)からどのように王がうまれるか。というよりむしろ、神話的思考はどのように王の出現に抵抗したか。そもそも「文化」と「野蛮」のハイブリッドである「文明」=国家は「野蛮」を根絶などできない。根源からの文明批判。/冒頭の9・11に絡めた宮沢賢治『氷河鼠の毛皮』論はとてもスリリングでこれだけでも読む価値がある。

首長は、戦士でもシャーマンでも王でもない。という部分は全く聞いたことがない話だった。日本の古代史・神話とはどう交差するんだこの議論。/後半は、対称性の思考と仏教の連続性に関してだが、仏教に関してはちょっとついていけなかった。「空」の理解がどうなっているのかわからない。僧の共同体(国家の中に「国家に抗する社会」が組み込まれる)はたしかに興味深いが、それが歴史上これまでに果たしてきた役割を考慮する必要があるだろうという印象。

動物と人間との交流の描かれぶりに、様々なものを思い出した。ドラゴンランスの牡鹿やドラゴンとか、ディズニーの『王様と剣』とか。ローワンだとか。あとなによりゲド戦記が読みたくなった。/クワキウトゥルの「人食い」なんかも物語として刺激的すぎる。/また、他者との共感に関する「結婚というものに本来含まれているはずの「美徳」」が神話に表現されるという言い方は、本筋とは離れて興味深いところでもある。
読了日:08月08日 著者:中沢 新一


ポケットの中の野生 (今ここに生きる子ども)ポケットの中の野生 (今ここに生きる子ども)感想


中沢新一ポケモン論。ポケモンに野生の思考を見出す。ポケモン、世代ど真ん中なのだが、リアルタイムではやってなかったのをなんとなく悔やむ気になる。通信ケーブルは使ったこと無いし、贈与はあんまり体験していないかもしれない。インベーダー論のあたり(出現と消滅に「死の欲動」をみる)が若干実感にも適っていて面白かった。
読了日:08月08日 著者:中沢 新一


愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3) (講談社選書メチエ)愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3) (講談社選書メチエ)感想
「交換・贈与・純粋贈与」の三様式をもって愛と経済を語る。志賀直哉小僧の神様』論・リヒャルトワグナー論・マルクス論でもある。というより、そう読んでこそ面白い。ラカンボロメオの結び目が何度も何度も登場する。/農業こそが最後の「コルヌコピア」型産業。意外にもというべきか、農業にはかなり肯定的。/クリスマス論も面白い。交換の原理と贈与の原理がめでたく愛で結ばれる日。

楽市楽座への言及がさらっとあるが、かなり謎。親鸞もすこし絡められていたが、これも面白いけれどどうなのだろう。/ヴォルテールがイギリスでクエーカーの信仰に感動したくだりで、「クエーカーはいいぞ。こいつらが、いまに世界を変えていくにちがいない」と書いていて、ちょっとさすがに笑ってしまった。
読了日:08月09日 著者:中沢 新一


太陽の庭 (集英社文庫)太陽の庭 (集英社文庫)感想

驚いた。『雨の塔』の関連作があるのかぁと思って読み始めたんだが、だいぶ違う種類の面白さだった。前半も良かったのだが、後半二章に意表を突かれた。こんなに大きな話だとは思わなかった。人と人を超えた大きなものの関係。『火の鳥』と似た感触。
読了日:08月10日 著者:宮木 あや子


[現代版]絵本 御伽草子 鉢かづき (「現代版」絵本御伽草子)[現代版]絵本 御伽草子 鉢かづき (「現代版」絵本御伽草子)感想

絵本御伽草子シリーズ、読むのは二冊目。語りや人の性格は現代風だが、筋はあまり変更がなく、舞台は昔の話。主人公の性格が異なっていただけで随分違ったものにみえる。

恋愛・結婚や家族に対する視線が微妙ではあるが改変されていて実は物語がぜんぜん違うものになっているんだということに後から気づいた。
読了日:08月11日 著者:青山 七恵,庄野 ナホコ


白蝶花 (新潮文庫)白蝶花 (新潮文庫)感想
再読。最初の二編を読んで、こんなに官能感強かったっけ!?と思ったが、「乙女椿」がそれらの印象を吹き飛ばしてたんだな、と全部読み切って理解。/戦争と社会と女性たち。椿か薔薇か。

「きっと千恵子さんなら大丈夫よ」
読了日:08月28日 著者:宮木 あや子


うどん キツネつきの (創元SF文庫)うどん キツネつきの (創元SF文庫)感想
なんか妙に想像力が刺激される文体でくせになる。情報を小出しにするその仕方が良いのだろうなと思う。ゆるふわなSFみたいなものを想像して読み始めたのだけど、そんなぬるいものにはとどまらない面白さだった。こんなところで田中舘愛橘の名前に出会うとは。/表題作と「おやすみラジオ」が好きだが、一番好きなのは実は「「了」という名の襤褸の少女」かも。
読了日:08月30日 著者:高山 羽根子